2000年の春先、ぼくはロンドンのカレッジで、友達のショートフィルム制作を手伝っていた。そのうち、シークエンス(エピソードの一節)を、その友達の地元ストックホルムで撮影しようとなった。いつか行きたいと想っていたので、思いがけない誘いにふたつ返事で行くことに。これが、ぼくにとってのはじめてのスウェーデン。
記憶が曖昧だけど、ハーフターム(学期間の休暇)かイースターホリデーを利用して行った気がする。冬の終わりか春先か、朝晩はまだしっかり寒く、日中は陽が出ると穏やかな季節だった。日照時間も限られていて、ほとんどのシーンがデイタイムだったから、撮影時間もかなり制限があった。
そう、冬のスウェーデンは暗くて長い。みな口を揃えて、朝まだ暗いうちに家を出て、帰る時も真っ暗。室内での学業や仕事だと、一日中暗いって。でも、それはそれで、旅行者としては楽しいものだ。

そして、長く暗い冬とは対照的に、夏は日中が長く開放的、人も自然もとってもアクティブだ。スウェーデンの滞在は1週間くらいだった。ついでにデンマーク、ノルウェーと足をのばした。
ストックホルムに着くとすぐ撮影の準備に。機材屋へ行ったり、ロケハン(撮影場所選び)をしたり、地元のバーで打ち合わせたり。もちろん旅行客として、街を散策したり、観光名所や美術館をまわったり、評判のカフェへ行ったり、はじめての場所は毎日が新鮮だった。
短期間だったけどすっかり気に入って、大好きな街になった。そのあと何度も遊びに行って、ボブファウンデーションとして活動し始めた頃、展覧会のため2ヶ月ほど滞在したことも。(写真は当時2000年頃)